まず知ってほしいこと

  • 起点は確認済証の発行希望日です。10㎡以下など一部の小規模は除外があります。
  • 住宅は外皮(UA/ηAC:断熱や日射の指標)と一次エネルギーの両方を見ます。非住宅は一次エネルギー(BEI:基準比)が中心です。
  • 建築確認の審査と省エネの確認は一緒に行われます。省エネの適合が確認できないと、確認済証は出ません。

1. 進め方の全体像

  • 1
    用途を決める
  • 2
    規模を確認
  • 3
    計算方法を選ぶ(モデル建物法 / 標準入力法)

自治体により、CASBEE(建物の環境性能評価)の手続きが必要なことがあります。

2. 提出に必要なもの(一覧)

建築関係
  • 📄 申請書類
  • 📄 配置図
  • 📄 各階平面図
  • 📄 立面・断面・矩計
  • 📄 用途別床面積表
  • 📄 仕上表
  • 📄 建具配置・建具表
設備関係
  • 📄 機器表(空調・換気・照明・給湯)
  • 📄 系統図・制御図
計算関係
  • 📄 外皮(住宅) UA/ηACの計算書
  • 📄 一次エネ(BEI)計算書
  • 📄 性能カタログなどの根拠
併行手続き

CASBEE(届出 / 評価認証)の必要書類(別タブで案内)

3. 変更が出たときの考え方

まずはどのルート(A/B/C)に当てはまるか、順に確認します。

手順(かんたんフロー)

1) 良くなる変更または影響なしですか? → はい:ルートA
2) 変更前の建物が基準より10%以上よい(目安:BEI≤0.90、※「その他一次エネ」を除く)うえで、下の小さな範囲の変更ですか? → はい:ルートB
3) 上記以外だが、再計算しても適合が明らかですか? → はい:ルートC → いいえ:計画変更(再申請)を検討
各ルートの要件(要点)
ルートA(良くなる/影響なし)
  • 建物の高さ・外周長が減る
  • 外壁・屋根・外気に接する床の面積が減る
  • 空調等の効率が下がらない/損失が増えない変更(制御方法の変更を含む)
  • 省エネ設備の新設・増設
ルートB(基準より10%以上よい建物に限り、小幅な低下まで許容)

事前条件:変更前の設計一次エネルギー消費量(※「その他一次エネ」を除く)が基準より10%以上少ない

  • 外皮・窓:平均U値/窓の平均ηの+5%以内の増加(または減少)
  • 空調(熱源):平均効率の-10%以内の低下
  • 換気:送風機電動機出力+10%以内/(駐車場・厨房に限り)対象床面積+5%以内
  • 照明:W/㎡(単位床面積あたり消費電力)+10%以内
  • 給湯:平均効率-10%以内の低下
  • 太陽光(PV):容量-2%以内/方位±30°以内/傾斜±10°以内
ルートC(再計算で適合が明らか)

再計算により省エネ基準に適合が明らかであればC。ただし、以下はCの対象外です。

  • 用途の変更
  • 評価基準の切替(例:仕様基準↔性能基準)
  • モデル建物の変更(モデル建物法の参照モデル差替え)
  • 確認方法の切替(例:BESTツール↔通常確認 への相互切替)
変更が出た場合(実務の進め方)
  1. ルート判定(A/B/C/計画変更)
  2. 影響範囲の特定(外皮・空調・換気・照明・給湯・PV など)
  3. 必要なら再計算(Bの上限内か、Cで「適合が明らか」かを確認)
  4. 提出書類を整備(説明書、根拠カタログ、図面差替え、出力Verの明記)
  5. 工程に反映(審査所要の上乗せ、完了検査前の締切を厳守)
ミニチェック(提出前)

4. 設備が未定のとき(スケルトン対応)

設備がまだ決まっていない場合は、設置しない前提で不利にならないように計算し、図面に注記します。

実際に設置する場合は、軽微変更か計画変更のどちらかを選び、完了前に差分を確認します。

5. よくあるつまずきと対策(例)

用途別床面積表と入力がズレている

計算書の用途区分と建築確認申請書の床面積表が一致していないケースが多発。

対策: いちばん最初に床面積表を固める

機器表と計算書の数字が合わない

提出した機器表の型番・能力値と省エネ計算で使用した値が異なる。

対策: 型番・効率・台数を「版管理」で共通化

外皮面積の集計ミス

窓・壁・屋根の面積算定で、図面との整合性が取れていない。

対策: 「方位×部位×階」で表を作ってから入力する

FAQ(建築物省エネ法|よくある質問)

Q. どんな建物が義務の対象ですか?

A. 原則として、2025年4月1日以降に着工する新築が対象です。

Q. とても小さな建物は対象ですか?

A. 床面積が10㎡以下の建物は、影響が小さいため対象外です。

Q. 用途によって対象外になることはありますか?

A. あります。居室がない、または高い開放性のため空調設備が不要とされる用途は対象外です(例:自動車車庫、常温倉庫、神社・寺院、観覧場、スケート場、プール等)。

Q. 都市計画区域外で平屋200㎡以下はどうなりますか?

A. 建築確認が省略される場合でも、省エネ基準へ適合すること自体の考え方は維持されます。適合判定手続(省エネ適判)が不要になるケースはあります。最終判断は所管窓口で確認してください。

Q. 仮設建築物は対象ですか?

A. 仮設建築物(建基法85条に基づく)は対象外です。

Q. 文化財保護や景観法で特別に守られている建物は?

A. 保存のため現状変更に制限がある建物は、適合が困難なものとして取り扱いがあります。

Q. 住宅販売のモデルルーム(プレハブ)は?

A. モデルルームは対象外です。

Q. オフグリッド(電力系統につながない)住宅は?

A. オフグリッドでも対象です。エネルギーの供給方法にかかわらず、基準への適合が求められます。

Q. 改修や修繕、模様替え(リフォーム)も対象ですか?

A. 対象外です。新築・増築・改築が対象で、修繕・模様替えは含まれません。大規模な修繕・模様替えも同様に対象外です。

Q. 設備(空調など)を入れ替えるだけでも対象になりますか?

A. 設備の更新のみは対象外です(増築・改築に該当しない限り)。

Q. 用途変更は対象ですか?

A. 用途変更だけでは対象外です。新築または増改築に該当する場合のみ対象になります。

Q. 増改築の場合、どこまでを評価しますか?

A. 増改築部分のみが原則対象です(2025年4月1日以降の工事着手から適用)。非住宅も同じ考え方です。

Q. 減築と増築を同時にする時は?

A. 増える床面積(増築部分)が評価対象です。減築部分は差し引きません。

Q. 共同住宅でEV棟だけ増築する場合は?

A. 増築部分(EV棟)だけを省エネ基準に適合させます。

Q. 省エネの審査(適合判定)と建築確認は別ですか?

A. 一体で運用されます。省エネ適合が確認できないと、確認済証が出ない取扱いです(原則)。

Q. 「審査が簡単な建築行為(仕様基準)」は現行と同じですか?

A. 仕様基準の考え方は現行と整合します。対象や詳細は所管の最新資料を確認してください。

Q. 建築確認の一部で審査が省略される"新3号"の建築物も、省エネ適判が必要?

A. 省エネ適判は不要です。ただし、省エネ基準に適合させる必要がある点は変わりません。

Q. 設備がまだ決まっていない(スケルトン)場合は?

A. 不利にならない仮条件で計画し、図面に注記したうえで進めます。最終仕様が決まったら、軽微変更/計画変更の手続きを検討します。

Q. 住宅の増築は、どのように評価しますか?

A. Webプログラム等で増築部分を中心に評価します。既存との境界条件の扱いは手引きどおりに設定してください。

Q. 最終的な判断はどこで確認すればよいですか?

A. 自治体・確認検査機関の窓口と最新の要領・手引きで確認してください。運用や所要期間は地域差があります。

更に詳しくは 建築物省エネ法関係|改正建築物省エネ法オンライン講座 をご覧ください